作業環境測定士は、労働安全衛生法65条で定められた指定作業場——有機溶剤・特定化学物質・粉じん・鉛・放射線・暑熱など——の作業環境測定を、「デザイン→サンプリング→分析」の流れで行う国家資格だ。衛生管理者が事業場の衛生管理全般を見る人だとすれば、作業環境測定士は「測るという行為の専門家」。この記事では、試験の日程・科目・手数料から、合格したあとに業務ができるようになるまでの手続きを、順番に整理する。
第一種と第二種——できることの違い
| 第二種 | 第一種 | |
|---|---|---|
| できる業務 | デザイン・サンプリング、簡易測定機器による分析 | 第二種の業務に加えて、登録した種類の分析 |
| 受ける科目 | 共通4科目 | 共通4科目+選択科目(1つ以上) |
| 試験回数 | 年2回(8月・2月) | 年1回(8月・2日間) |
第二種は測定の設計と試料の採取まで、第一種はそこから先の分析まで担える。第一種の選択科目は、有機溶剤/鉱物性粉じん/特定化学物質/金属類/放射性物質の5つから1つ以上を選ぶ。選んだ科目が、そのまま合格後に登録できる分析の種類になる。
年間スケジュール
実施するのは公益財団法人 安全衛生技術試験協会。試験地は北海道・宮城・千葉・東京・愛知・兵庫・広島・福岡の8ヶ所だ。
| 項目 | 令和8年度 第1回 |
|---|---|
| 試験日(第一種) | 8月19日(水)・20日(木) |
| 試験日(第二種) | 8月19日(水) |
| 受付(書面) | 5月22日〜6月5日 |
| 受付(オンライン) | 5月22日〜6月19日 |
| 合格発表 | 9月29日 |
第二種の第2回(2027年2月)の日程は、この記事の時点では未公表だ。協会サイトで確認してほしい。
受付は書面よりオンラインの方が2週間長い。書面で出す場合は6月5日が締切なので、実務経験の証明書類や免除の証明書類を揃える時間を逆算しておくこと。
8月受験なら、5月には準備を終えているつもりで 受付開始の5月22日から数えると、試験まで約3ヶ月。ただし受付時点で受験資格の証明書類と免除の証明(免除講習を使うなら修了証)が必要になるので、講習を経由する人は春までに受講を済ませておく必要がある。
科目と試験時間
共通4科目はどちらの種も同じ。各科目20問・60分・五肢択一のマークシートだ。
| 科目 | 第二種 | 第一種 |
|---|---|---|
| 労働衛生一般 | ○ | ○ |
| 労働衛生関係法令 | ○ | ○ |
| 作業環境について行うデザイン・サンプリング | ○ | ○ |
| 作業環境について行う分析に関する概論 | ○ | ○ |
| 選択科目(有機溶剤/鉱物性粉じん/特定化学物質/金属類/放射性物質) | — | 1つ以上 |
第二種は4科目で試験時間の合計は240分。1日で終わる。第一種は共通4科目に選択科目が加わるため2日間の日程になる。選択科目を複数選べば、その分だけ受ける科目が増える。
合格基準は「科目ごとに60%以上」
ここがこの試験の最大の特徴だ。合格基準は総合点ではなく、科目ごとに60%以上。各科目20問中12問以上を、受けた科目すべてで満たす必要がある。1科目でも60%を割れば、他の科目が満点でも不合格になる。
この基準のため、令和7年度の合格率は第一種46.3%(受験953人・合格441人)に対して、第二種は14.3%(受験1,832人・合格262人)と大きく開いている。詳しい推移と理由の考察は、合格率と難易度の記事にまとめている。
手数料
| 区分 | 手数料 |
|---|---|
| 第二種 | 11,800円 |
| 第一種(共通4科目+選択1科目) | 13,900円 |
| 第一種の選択科目を1つ追加するごとに | +3,300円 |
第一種で選択科目を2つ受けるなら17,200円、3つなら20,500円という計算になる。免除で受ける科目が減る場合の手数料は、協会の案内で確認してほしい。
公表問題の入手先
安全衛生技術試験協会は、直近2回分の問題PDFと正答を公開している(https://www.exam.or.jp/emkohyo/)。市販の問題集を買う前に、まずここで実物を見ておく。科目ごとの出題の型と、計算問題の分量がつかめる。
参考書としては、日本作業環境測定協会が科目ごとの公式テキストを出している(『作業環境測定のための労働衛生一般』『同 労働衛生関係法令』『同 デザイン・サンプリングの実務』『同 分析概論』など。販売は https://jawe-book.com/ )。同協会は受験準備講習(東京会場+Zoom)も実施している。
合格後——登録講習と登録を経て業務ができる
試験に合格しただけでは、まだ作業環境測定士として業務はできない。登録講習を修了し、協会に登録して初めて名乗れる。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 試験合格 | 科目ごとに60%以上 |
| 2. 登録講習 | 日本作業環境測定協会などが実施。第2種講習は3日、第1種講習は選択科目ごとに2日。修了試験あり |
| 3. 登録 | 協会へ登録。新規20,000円 |
| 4. 業務 | 作業環境測定士として測定業務ができる |
第一種の登録講習は選択科目ごとに2日なので、選択科目を2つ合格していれば4日分、という計算になる。合格から業務までには、講習の日程と登録の手続きの分だけ時間がかかるので、資格が必要になる時期から逆算して受験する年を決めるといい。
衛生管理者との関係
作業環境測定士と衛生管理者は、互いに近道になる関係にある。
- 衛生管理者から作業環境測定士へ:第一種衛生管理者(労働衛生の実務5年以上)と衛生工学衛生管理者(同3年以上)は、日本作業環境測定協会の免除講習(1日・修了筆記試験あり)を修了すると、労働衛生一般と労働衛生関係法令の2科目が免除される
- 作業環境測定士から衛生工学衛生管理者へ:作業環境測定士の資格は、中央労働災害防止協会が行う衛生工学衛生管理者講習の受講資格になる
事業場の衛生管理を担っている人が測定の専門性を足す、あるいは測定の専門家が事業場の管理側に広げる。どちらの方向にも道がある。受験資格と免除の詳細は、受験資格と科目免除の記事で扱っている。
まとめ
作業環境測定士試験は、①第一種は年1回(8月・2日間)、第二種は年2回(8月・2月)、試験地は8ヶ所、②令和8年度第1回は8月19日・20日、受付は書面5月22日〜6月5日・オンライン5月22日〜6月19日、合格発表は9月29日、③共通4科目+第一種は選択科目、各20問・60分・五肢択一、④合格基準は科目ごとに60%以上、⑤手数料は第二種11,800円・第一種13,900円(選択1科目追加ごと+3,300円)、⑥合格後は登録講習(第2種3日・第1種は選択科目ごと2日)と登録(新規20,000円)を経て業務——申込の締切から逆算して、証明書類と免除講習の準備を先に済ませておこう。
参考
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 https://www.exam.or.jp/
- 同 合格率 https://www.exam.or.jp/h_gokakuritsu/
- 同 公表問題 https://www.exam.or.jp/emkohyo/
- 公益社団法人 日本作業環境測定協会 https://www.jawe.or.jp/
- 同 図書販売 https://jawe-book.com/