「腰痛とパソコン作業って、試験に出るの?」——出る。どちらも厚生労働省の指針・ガイドラインに基づく出題で、問われるのはほぼ数字と姿勢の基本だけ。法令の条文ではないので覚える量は少ない。ただし数字がよく似ている(40%と60%、1時間と10〜15分、6か月と1年)ので、どの数字がどこにかかるかを整理しておく必要がある。

腰痛予防——持ち上げ方の基本

腰痛は業務上疾病の中でも発生件数が多く、重量物取扱い・介護・長時間の車両運転などで起こる。「職場における腰痛予防対策指針」のポイントは、作業の姿勢と重量、作業環境、健康管理の3方向だ。 重量物を持ち上げるときは、できるだけ身体を対象物に近づけ、膝を曲げ、腰を落とした姿勢をとる。腰を曲げて前かがみのまま持ち上げるのが最も腰に悪い。そもそも重量物を扱う作業は自動化・機械化で人力作業を減らすのが優先で、人力で扱うなら重量を表示する、といった配慮も求められる。

重量の目安——「男は体重の4割、女は男の6割」

対象人力のみで取り扱う物の重量の目安
満18歳以上の男性体重のおおむね40%以下
満18歳以上の女性男性が取り扱うことのできる重量の60%位まで

ひっかけはこの2つの数字の入れ替えだ。「男性は体重のおおむね60%以下」は誤り(正しくは40%)。女性の60%は「体重の」ではなく「男性の取扱重量の」60%で、かかる先が違う点に注意する。体重60kgの男性なら約24kgが目安、というイメージを1つ持っておくと、60%(36kg)が過大だと体感で分かる。

腰部保護ベルトは個別判断・腰痛健診は6か月以内ごと

腰部保護ベルトは効果に個人差があるため、一律に使用させるのではなく、労働者ごとに効果を確認してから使用の適否を判断する。「全ての労働者に一律に使用させることが望ましい」は誤り。指針は全般に「全員に強制」を嫌う方向だと覚えておくと、一律・強制系の肢を見抜きやすい。 健康管理では、重量物取扱い作業など腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者には、当該作業に配置する際と、その後6か月以内ごとに1回、定期に医師による腰痛の健康診断を行う。一般の定期健診(1年以内ごと)より頻度が高い。「1年以内ごと」とする肢が誤りになる。 なお、この腰痛健診は法令で定められた特殊健康診断ではなく、指針に基づくものである点も押さえておきたい。

立ち作業と車両運転 立ち作業では、床面が硬い場合はクッション性のある作業靴やマットを使って下肢への負担を減らす。フォークリフトや長距離運転などの全身振動も腰痛の原因になる(手指のレイノー現象は局所振動の症状で、こちらとは別)。腰痛は「持ち上げ」だけの話ではない。

情報機器作業——ガイドラインの数字

パソコンやタブレットを使う作業は「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で扱われる。旧VDT作業ガイドラインが改められたもので、試験は現行の数字で出る。

項目数字・基準
一連続作業時間1時間を超えないようにする
次の連続作業までの作業休止時間10〜15分
一連続作業時間内の小休止1〜2回程度
書類上・キーボード上の照度300ルクス以上
ディスプレイとの視距離おおむね40cm以上
ディスプレイ画面の高さ画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下

「一連続作業時間が2時間を超えないようにする」「作業休止時間は1〜2分程度で足りる」「おおむね20cm以内の視距離で見る」——いずれも数字をずらした誤りだ。1時間・10〜15分・1〜2回・300ルクス・40cmの5つをセットで覚えよう。 注意したいのは画面の照度。かつてのガイドラインにあった「ディスプレイ画面上の照度は500ルクス以下」という上限は、令和3年の改正で撤廃された。古い参考書の数字のまま「500ルクス以下でなければならない」とする肢は、現行ガイドラインに照らすと誤りになる。

情報機器作業の健康診断——配置前と1年以内ごと

情報機器作業に係る健康診断は、配置前と、その後1年以内ごとに1回定期に行い、業務歴・既往歴・自覚症状の調査に加えて眼科学的検査筋骨格系に関する検査を行う。腰痛健診の「6か月」と混ざりやすいので、「腰痛は6か月・情報機器は1年」と対で持っておく。

ひっかけ総ざらい

出題パターン正しい理解
「男性は体重のおおむね60%以下」40%以下。女性は男性の60%位
「腰部保護ベルトは全員に一律使用」個人ごとに効果を確認して判断
「腰痛健診は1年以内ごと」配置時+6か月以内ごと
「一連続作業時間は2時間を超えない」1時間を超えない
「作業休止時間は1〜2分」10〜15分
「ディスプレイ画面の照度は500ルクス以下」上限は改正で撤廃。書類・キーボード面は300ルクス以上

まとめ:数字を「何に対して」ごと覚える

腰痛予防と情報機器作業は、①持ち上げは膝を曲げ腰を落として荷を体に近づける、②重量は男性=体重の40%・女性=男性の60%、③保護ベルトは個別判断、④腰痛健診は配置時+6か月、⑤情報機器は1時間・10〜15分・1〜2回・300ルクス・40cm、⑥画面照度の上限は撤廃、⑦情報機器健診は配置前+1年——数字が「何に対して」の数字かを添えて覚えれば、労働衛生のこの1問を確実に取れる。