「円高って、円の数字が大きくなること?」——ここで多くの人がつまずく。実は逆で、1ドル=80円のように数字が小さくなるほうが円高だ。外貨預金も外貨建て保険もFXも、ぜんぶ「円高・円安の向き」と「売買レートのしくみ」の2つから始まる。この記事を読み終えるころには、円高・円安もTTS・TTBも、もう迷わなくなる。
円高・円安は「ドルの値段」ではなく「円の価値」で見る
基準を1ドル=100円としよう。ここから1ドル=80円になったら、同じ1ドルを80円で買える。前より少ない円で買えるのだから、円の価値が上がった=円高。逆に1ドル=150円なら、1ドル買うのに150円も必要で、円の価値が下がった=円安だ。コツは「ドルがいくらか」ではなく「円の値打ち」で考えること。迷ったら数字が大きいほうが円安(150>100だから円安)と丸暗記でいい。身近な例だと、円安が進むと輸入品・ガソリン・海外旅行は高くつき、円高だと海外のものを安く買える。企業への影響も定番で、海外へ売る輸出企業は円安が有利(受け取ったドルが多くの円になる)、海外から仕入れる輸入企業は円高が有利(少ない円で買える)。
つまり「円高=円が高く評価される=1ドルを買うのに必要な円が少ない」。数字の大小と円の価値は逆向きになる。ここさえ押さえれば怖くない。
買うとき高く、売るとき安い — TTS・TTM・TTB
外貨を売買するレートは3種類。まん中の基準が TTM(仲値)で、その日の基準レートだ。ここに為替手数料を上乗せ・値引きしたものが、実際の取引レートになる。銀行が外貨を売る(=あなたが買う)ときは仲値+手数料で高い TTS、銀行が外貨を買う(=あなたが売る)ときは仲値−手数料で安い TTB。大小関係は必ず TTS > TTM > TTB。「S=銀行が Sell(=あなたが買う)だから高い」と結びつけると迷わない。仲値150円・片道手数料1円なら、買うとき TTS=151円、売るとき TTB=149円。この売値と買値の差(往復2円)が、そのまま金融機関の手数料の取り分になる。この売買の差はスプレッドと呼ばれ、頻繁に出し入れするほど効いてくる。
外貨預金は「往復で手数料」+「為替リスク」
外貨預金は、円を外貨に替えて預け、満期に円へ戻す商品。円→外貨のとき TTS、外貨→円のとき TTB を使うので、往復で為替手数料を二重に負担する。たとえば1ドル150円のとき10万円を預けると、TTS(151円)で約662ドル。為替がまったく動かないまま引き出しても、TTB(149円)で戻すと約9万8,675円——手数料だけで千円ちょっと目減りする。手数料は通貨や金融機関で差が大きく、ネット銀行は安めのことも多い。もちろん本番は為替も動く。預入後に円安へ動けば戻す円が増えて為替差益、円高になると円換算が目減りして為替差損。1万ドルを150円で持ったなら、160円まで円安が進めば+10万円、140円まで円高になれば−10万円——これが為替差益・差損の実感だ。さらに外貨預金は預金保険(ペイオフ)の対象外で、「銀行が破綻しても1,000万円まで保護」の対象に入らない点も、試験で本当によく狙われる。
利息と為替差益は、税金の扱いが別
外貨預金のもうけは2種類あり、課税が違う。利息は利子所得で、円預金と同じく源泉分離課税20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%+住民税5%)。受け取り時に天引きされて完結する。税率20.315%は円預金の利息とまったく同じ数字なので、ここは横断で覚えると効率がいい。いっぽう為替差益は原則雑所得で、総合課税として他の所得と合算し確定申告する。つまり同じ口座のもうけでも、利息と為替差益は申告のしかたがまったく別モノ。「利息も差益もまとめて源泉分離」と思わせる引っかけが定番なので、利息=利子所得/為替差益=雑所得とセットで覚えよう(預入時に満期の為替予約を付けた差益だけは、例外的に源泉分離)。
FP3頻出ポイント(引っかけ早見表)
| 引っかけ | 正しい理解 |
|---|---|
| 1ドル100円→120円は円高? | 円安。数字が大きい=円の価値が下がった |
| 円を外貨に替えるレートは? | 顧客が買う側なので TTS(高いほう) |
| 外貨を円に戻すレートは? | 顧客が売る側なので TTB(安いほう) |
| 大小関係は? | TTS > TTM > TTB |
| 為替差益の課税は? | 原則 雑所得・総合課税(利息は利子所得) |
| 外貨預金はペイオフ対象? | 対象外(保護されない) |
まとめ
迷ったらこの4点。①数字が大きい=円安、②TTSは買う側で高い・TTBは売る側で安い、③外貨預金は往復手数料+ペイオフ対象外、④利息は利子所得・為替差益は雑所得。この向きと使い分けさえ固めれば、外貨分野はまるごと得点源に変わる。