「投資はこわい」「NISAって聞くけど、なんか難しそう」——そう思って、通帳に眠らせたままのお金、実はけっこうもったいない。ふつう投資で儲けが出ると、その利益から約20%(正確には20.315%)を税金でごっそり持っていかれる。ところが国が「この制度の中でなら税金ゼロでいいよ」と用意したのが、新NISAとiDeCoという2枚看板だ。
新NISA — 年360万・生涯1800万の"非課税の器"
まず前提から。ふつう投資で利益や配当が出ると、そこから約20%が税金で引かれる。10万円儲けても手元は約8万円だ。この税金を丸ごとゼロにするのが新NISA。2024年にリニューアルされ、制度は恒久化・非課税期間も無期限になった。
入り口は2つ。コツコツ投信を積み立てるつみたて投資枠(年120万)と、個別株や投信も買える成長投資枠(年240万)。合わせて年間最大360万まで入れられる。さらに、一生でためられる非課税の上限(非課税保有限度額)が1800万。ただし成長投資枠だけで使えるのは1200万までで、残りはつみたて枠で埋める。
うれしいのは、売って空いた枠が翌年に復活すること(使った金額=簿価ベースで戻る)。しかもいつでも引き出せるから、教育費・住宅資金・老後と、用途を選ばない万能選手だ。
〜1200万
つみたて枠のみ
iDeCo — 60歳まで出せない代わりの"3段の節税"
NISAが万能なら、iDeCo(個人型確定拠出年金)は"老後専用の最強節税箱"。自分で掛金を出して運用し、自分の年金を作る制度だ。最大の縛りは、原則60歳まで引き出せないこと。急にお金が要っても引き出せないので、そこは覚悟がいる。
その代わり税優遇が3段構えになっている。①掛金が全額所得控除——払った分だけ、その年の所得税・住民税が軽くなる。②運用益が非課税——増えた分に約20%の税金がかからない。③受け取るときも控除——一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が使える。
特に①はNISAにはない武器で、所得が高い人ほど戻りが大きい。掛金の上限は加入区分(自営業・会社員・公務員・専業主婦(夫)など)や、勤め先の企業年金の有無で変わり、ここは改正が入る論点。「月いくらまで」は受験直前に最新値を確認するのが安全だ。
使い分けは「そのお金いつ使う?」で決まる
どちらが上か、ではない。分かれ目は**「そのお金、いつ使う?」の一点だ。数年内に使う可能性があるお金——教育費、住宅の頭金、急な出費——は、いつでも引き出せるNISAへ。逆に、絶対に老後まで手をつけないお金は、所得控除が効くiDeCo**へ回す。
iDeCoの「引き出せない」は弱点であると同時に、強制的に老後資金を守ってくれる長所でもある。だから基本は両方の併用。まずNISAで"いつでも動かせるお金"を確保し、家計に余裕があればiDeCoで所得控除を取りにいく——これが王道の順番だ。
FP3級で狙われる引っかけ
試験では「数字の入れ替え」と「有無の逆転」で揺さぶってくる。構造で覚えていれば全部見抜ける。
| 論点 | 正しい要件 | ありがちな引っかけ |
|---|---|---|
| NISA非課税保有限度額 | 生涯1800万(簿価=取得価額ベース)。うち成長投資枠は1200万まで | 「時価で1800万」「成長枠も1800万使える」 |
| NISAの売却枠 | 売った分の枠は翌年復活(簿価分) | 「売ったその年に復活」「年360万の年間枠も復活」 |
| NISAの損失 | 他口座の利益と損益通算・繰越控除はできない | 「損したら確定申告で通算できる」 |
| iDeCoの引き出し | 原則60歳まで引き出せない | 「いつでも引き出せる」 |
| iDeCoの掛金 | 全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除) | 「生命保険料控除になる」「半分だけ控除」 |
| iDeCoの受給開始 | 60歳受給には加入等10年以上が必要 | 「誰でも60歳になれば受け取れる」 |
おわりに
ひとことで言えば、NISA=いつでも出せる非課税の器/iDeCo=出せない代わりに掛けた瞬間から節税。迷ったら「そのお金いつ使う?」で振り分ければいい。ただし、年間枠や生涯1800万、iDeCoの掛金上限は改正でちょくちょく変わる。だから月額いくらを丸暗記するより、「NISAの枠は簿価で管理」「iDeCoは入口・運用中・出口の3段で得する」といった構造をつかんでおこう。数字が変わっても、構造さえ分かっていれば解ける。