「債券って、預金みたいに安全なやつでしょ?」——半分は正解。でも「金利が上がると損することもある」と聞いたとたん、急に意味がわからなくなる人が多い。この"損する仕組み"の正体は、たった一つ、金利と価格のシーソーだ。ここを腹落ちさせれば、債券は怖くなくなるし、FP3の債券問題も一気に解けるようになる。
債券は「お金を貸す証書」
債券とは、あなたがお金を貸したことを証明する借用書のこと。貸す相手が国なら国債、企業なら社債と呼ぶ。証書には4つの約束が書いてある。額面金額(満期に返ってくる金額)、表面利率=クーポン(額面に対して毎年もらう利子の率)、償還期限(満期日)、そして購入価格(実際に買った値段)だ。たとえば額面100円・表面利率2%の債券なら、持っている間は毎年2円の利子が入り、満期になれば額面の100円が戻ってくる。利子は年2回に分けて支払われるのが一般的だ。ここで株式と比べると性格がはっきりする。株式は「会社の一部を所有する権利(オーナー)」で、値上がり益や配当を狙うぶん値動きが荒い。対して債券は「お金を返してもらう権利(貸主)」。満期(償還)まで持てば額面が戻るという、ゴールがあらかじめ見えている設計だ。この"ゴールが見える"感じが、債券が安全と言われる最大の理由になっている。
金利と価格は「シーソー」
債券でいちばん大事なのがここ。市場金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると価格は上がる。方向がいつも逆——まさにシーソーだ。なぜそうなるのか。いまあなたが持っているのは表面利率2%の債券だとする。ところが世の中の金利が3%に上がると、これから発行される新しい債券は3%の利子をくれるようになる。そうなると、誰も好き好んで利子2%の"型落ち"を額面のままでは買ってくれない。そこで2%債の値段は下がり、「安く買えば実質3%くらいになる」水準まで割り引かれる(額面100円→約95円)。逆に世の中の金利が1%に下がれば、2%債は相対的にお宝となって値上がりする(約105円)。ポイントは、金利上昇で得をするのはこれから買う人で、すでに保有している人には評価損というマイナスが出ること。この因果はFP3の超頻出で、「金利が上がると価格も上がる」は典型的なひっかけだ。
表面利率と「利回り」は別物
次に混同しやすいのが、表面利率と利回りの違い。表面利率(クーポン)は、額面に対する利子の率。発行時に決まって満期まで変わらない、いわば固定の数字だ。いっぽう利回りは、実際に自分が出したお金に対して最終的にどれだけ増えるかの率を指す。だから買った値段が額面とズレると、この2つは一致しなくなる。満期まで持つ前提での最終利回りは、毎年の利子だけでなく、額面と購入価格の差(償還差損益)を1年あたりに均したものも足して計算する。
最終利回り(単利,%)= { 表面利率 +(額面−購入価格)÷ 残存年数 } ÷ 購入価格 × 100
たとえば表面利率2%の債券を98円で買い、5年後に100円で償還されるとする。利子の2円に、差益(100−98)÷5=0.4円を足して年2.4円。これを投資額の98円で割ると**約2.45%**になる。額面より安く買えたぶん、利回りは表面利率(2%)より高くなるわけだ。
「安全」の裏側とリスク・格付け
債券の「安全」は無条件ではない。押さえるべきリスクは4つ。まず信用リスク(デフォルト)——発行体が利子や額面を約束どおり払えなくなる危険で、その度合いは格付けで測る。格付会社が発行体をAAAからDまで採点し、AAA〜BBB(トリプルB)以上が投資適格、BB以下は投機的(ハイイールド/ジャンク)に区分される。BBBとBBの間に一本の線が引かれている、と覚えるのがコツだ。次に、さっきのシーソーで生まれる価格変動(金利)リスク。そして、売りたいときに買い手がつかず不利な値段でしか売れない流動性・途中売却リスク。最後に、米国債など外貨建て債券(外債)だけにかかる為替リスク——円高になると、利子や償還金を円に戻したときに目減りする。安全の中身をこう分解できると、債券の問題文がぐっと読みやすくなる。
FP3頻出のひっかけ
本番でそのまま出るパターンを○×で押さえよう。理由まで言えれば完璧だ。
| よくあるひっかけ | 正誤と理由 |
|---|---|
| 市場金利が上がると債券価格も上がる | ×/金利↑→価格↓のシーソー。逆に動く |
| 表面利率と最終利回りは同じもの | ×/買値が額面とズレれば別物になる |
| 格付けBBは投資適格である | ×/投資適格はBBB以上。BB以下は投機的 |
| 満期まで持っても途中の値動きで損する | ×/発行体が健全なら額面が戻る |
| 割引債(額面より安く発行)の利益は? | ○/額面との差額が利益。利子はつかない |
要するに、債券は「お金を返してもらう権利」。満期まで持てば額面が戻る安心設計でも、途中の値段は金利とシーソーで動く。金利↑→価格↓、表面利率と利回りは別物、投資適格はBBB以上——この3つさえ握れば、債券の問題はほぼ取りこぼさない。安全の"中身"を知ることが、結局いちばんの安全策になる。