「鉛、水銀、カドミウム、クロム、マンガン……どれがどの症状だったか毎回混ざる」——金属中毒は、有機溶剤と並んで**「物質×症状」の入れ替え**で出題される分野だ。出題者がやることは単純で、表の右側を別の行と差し替えるだけ。つまり、定番ペアの表を1枚固めることがそのまま得点になる。
まず表で全体を見る
| 金属 | 健康障害のキーワード |
|---|---|
| 鉛 | 貧血(造血機能障害)・末梢神経障害(伸筋麻痺)・腹部の疝痛 |
| 水銀(金属水銀) | 手指の震え(振戦)・精神症状 |
| カドミウム | 腎障害(尿細管障害)・肺気腫・骨軟化症 |
| 六価クロム | 鼻中隔穿孔・皮膚炎(クロム潰瘍)・肺がん |
| マンガン | パーキンソン病に類似した症状(筋のこわばり・震え・歩行障害) |
| ヒ素 | 皮膚障害(角化症・黒皮症)・鼻中隔穿孔・末梢神経障害・肺がん |
| ベリリウム | 肺の肉芽腫(慢性ベリリウム症) |
これを丸ごと覚えるのが最短だが、各行に「理由」や「イメージ」を1つ添えると、入れ替えられたときに違和感で気づけるようになる。以下、行ごとに補強する。
鉛——血・神経・腹の3点セット
鉛中毒は貧血・末梢神経障害・腹部の疝痛(鉛疝痛)の3つ。鉛は血液をつくる働き(造血機能)を妨げるので貧血になる。末梢神経がやられると手首が垂れる伸筋麻痺、腹では激しい腹痛の疝痛が出る。 試験での正文は「鉛——造血機能障害による貧血」の形。鉛の特殊健診では血液中の鉛の量や尿中のデルタアミノレブリン酸を調べる——これは生物学的モニタリングの代表例としても問われる。なお鉛の粉じんを発散する場所での業務は、労働時間の延長が1日2時間までに制限される有害業務にも含まれる。
水銀とカドミウム——震えは水銀・腎臓と骨はカドミウム
金属水銀は常温で液体だが揮発し、その蒸気を吸い込んで中毒になる(有害物の存在状態を問う問題で「水銀=蒸気」と出る)。症状は手指の震え(振戦)と、不眠・興奮などの精神症状。「水銀——骨軟化症」は誤りで、骨軟化症はカドミウムだ。 慢性のカドミウム中毒は腎障害(尿細管障害)が中心で、肺気腫や骨軟化症も起こる。骨軟化症は「イタイイタイ病」の原因としてカドミウムと結びつけて覚える。「カドミウム——パーキンソン病に類似した症状」は誤り(パーキンソン様はマンガン)。
クロムとマンガン——鼻中隔穿孔とパーキンソン様
六価クロムは鼻中隔穿孔(鼻の中の仕切りに穴があく)・皮膚炎(クロム潰瘍)・肺がん。「鼻中隔穿孔とくればクロム」が試験の定番だ。「六価クロム——再生不良性貧血」は誤りで、造血器障害はベンゼンや鉛の側。クロム酸を扱う業務は、発がん性があるため健康管理手帳の交付対象業務に含まれる。 一方、マンガン中毒はパーキンソン病に類似した症状——筋のこわばり、震え、歩行障害など。「マンガン——鼻中隔穿孔」は誤り(穿孔はクロム)。
ヒ素とベリリウム——発がんと肉芽腫
ヒ素は角化症・黒皮症などの皮膚障害、末梢神経障害、そして肺がん。ヒ素でも鼻中隔穿孔はみられるため、「鼻中隔穿孔=クロムだけ」と決めつけないこと。ベリリウムは慢性の吸入で肺に肉芽腫をつくる(慢性ベリリウム症)。ベリリウムは製造にあらかじめ厚生労働大臣の許可が必要な第一類物質でもある。
金属の「煙」=ヒューム 溶接や溶解で金属が蒸気になり、空気中で冷えて固まった微粒子がヒュームだ(酸化鉛・酸化亜鉛が代表)。ヒュームは粒子なので防じんマスクで防ぐ。亜鉛などのヒュームを吸うと、発熱や悪寒を起こす金属熱が出ることも、セットで覚えておくと拾える。
ひっかけ総ざらい
| 出題パターン | 正しい理解 |
|---|---|
| 「マンガン——鼻中隔穿孔」 | 鼻中隔穿孔はクロム |
| 「カドミウム——パーキンソン病様症状」 | パーキンソン様はマンガン |
| 「六価クロム——再生不良性貧血」 | クロムは鼻中隔穿孔・肺がん |
| 「水銀——骨軟化症」 | 骨軟化症はカドミウム |
| 「鉛——手指の震え」 | 震えは水銀。鉛は貧血・末梢神経・疝痛 |
まとめ:定番ペアに「理由」を1つずつ
金属中毒は、①鉛=貧血・末梢神経・疝痛、②水銀=震え・精神症状、③カドミウム=腎臓・肺気腫・骨、④クロム=鼻中隔穿孔・肺がん、⑤マンガン=パーキンソン様、⑥ヒ素=皮膚・肺がん、⑦ベリリウム=肺肉芽腫——この7行に理由を1つずつ添えて覚える。出題は行の入れ替えだけなので、表が固まればそのまま1問になる。