「いい物件見つけた!」——そのワクワクの裏で、実は不動産は情報の非対称性がいちばん大きい買い物です。売る側はプロ、買う側は一生に一度。だからこそ、FP3級の「不動産」で問われる知識は、そのままあなたを守る武装になります。教科書の丸暗記ではなく「家探しの現場でどう効くか」から整理していきましょう。
登記簿は「その家の履歴書」
物件を検討するとき、営業トークだけを信じてはいけません。**登記記録(登記簿)**を見れば、その不動産の素性がわかります。法務局で誰でも取得でき、構成は3つに分かれます。
| 区分 | わかること | 家探しでの意味 |
|---|---|---|
| 表題部 | 所在・地番・地目・面積・構造 | 「広告の面積」と実測の照合 |
| 権利部(甲区) | 所有権に関する事項 | 今の持ち主は本当に誰か |
| 権利部(乙区) | 所有権以外の権利(抵当権など) | 借金のカタになっていないか |
たとえば乙区に抵当権がびっしり付いていたら、その家は住宅ローンの担保。売買で残債を消してもらえるかは要確認です。
FPひっかけ注意①:登記に「公信力」はない 登記には対抗力(第三者に「これは私の権利だ」と主張できる力)はありますが、公信力(記載を信じた人が保護される力)はないとされます。「登記簿に書いてあったから安心」だけでは足りず、実際の権利関係の確認が大切、という理屈です。ここは試験でよく狙われます。
建蔽率と容積率——「どれだけ建てられるか」の二枚看板
土地を見て「ここに理想の家を!」と思っても、建てられる大きさには上限があります。それを決めるのが建蔽率と容積率。混同しやすく、FP3級の計算問題では定番です。
- 建蔽率(けんぺいりつ)= 建築面積 ÷ 敷地面積 → 真上から見て、どれだけの面積を建物で覆えるか
- 容積率(ようせきりつ)= 延べ床面積 ÷ 敷地面積 → 全フロアの床面積の合計をどこまで積めるか
敷地100㎡・建蔽率60%・容積率200%なら
建蔽率=60%
建築面積60㎡ ÷ 敷地100㎡
= 真上から見た「覆う面積」
容積率=200%
延べ床200㎡ ÷ 敷地100㎡
= 全フロアの「床の合計」
たとえば 敷地100㎡・建蔽率60%・容積率200% の土地なら、建築面積の上限は100㎡×60%=60㎡、延べ床面積の上限は100㎡×200%=**200㎡**になります。
FPひっかけ注意②:緩和・制限を忘れない 建蔽率は、特定行政庁が指定する角地で+10%、防火地域内の耐火建築物で+10%などの緩和があります。容積率は、前面道路の幅員が12m未満だと、指定容積率と「幅員×法定乗数」で計算した数字の小さいほうが採用されます。「指定容積率がそのまま使える」とは限りません。
用途地域——「どんな街になるか」の設計図
同じ「住宅街」でも、隣に高層マンションや工場が建つ可能性は場所ごとに違います。それを決めるのが用途地域。全部で13種類あり、大きく3系統で捉えると迷いません。
第一種低層住居専用地域は、いわば"高さと用途の縛りが最も厳しい優等生エリア"。日当たりや静けさは守られやすい反面、近所にコンビニやカフェが少ないことも。工業専用地域には住宅そのものが建てられない——この「住めない地域がある」点も試験頻出です。
不動産の税金は「取得・保有・売却」の3タイミングで捉える
不動産の税金はバラバラに暗記すると必ず混乱します。「いつ払うか」で3つの引き出しに仕分けるのが最速です。
保有時は毎年(1/1時点の所有者)。売却時は利益が出たときだけ・マイホームは3,000万円控除
| タイミング | 税金 | ざっくりの中身 |
|---|---|---|
| 取得時 | 不動産取得税 | 取得したときに一度だけ。住宅・宅地は軽減特例あり |
| 取得時 | 登録免許税 | 登記をするときの国税 |
| 保有時 | 固定資産税 | 毎年、1月1日時点の所有者に。標準税率1.4% |
| 保有時 | 都市計画税 | 市街化区域内などが対象。制限税率0.3% |
| 売却時 | 譲渡所得税 | 売って利益が出たときにかかる |
覚えておくと得なのが保有時の「住宅用地の特例」。住宅が建っている土地は固定資産税の課税標準が下がり、200㎡以下の小規模住宅用地は6分の1に軽減されます。「更地にすると税金が跳ね上がる」のはこの特例が外れるからです。
売却時の譲渡所得税は、保有期間で税率が変わるのが最大のツボ。
- 短期譲渡(所有5年以下):合計 約39.63%(重い)
- 長期譲渡(所有5年超):合計 約20.315%(軽い)
FPひっかけ注意③:5年の数え方 この「5年」は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかで判定します。単純な「買ってから丸5年」ではないため、年末に売ると"あと少しで長期だったのに短期扱い"が起こりがち。さらにマイホームを売る場合は、利益から最高3,000万円を差し引ける特別控除があり、多くのケースで税負担がゼロになります。
借りる派も安心——普通借家と定期借家
借りる側の権利もFP不動産の重要テーマ。賃貸借契約には2種類あり、**「更新できるかどうか」**が決定的に違います。
| 項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
|---|---|---|
| 契約の更新 | 原則あり | なし(期間満了で終了) |
| 貸主からの終了・拒絶 | 正当な事由が必要 | 期間満了で確定的に終了 |
| 契約方法 | 口頭でも成立 | 書面で、かつ事前に書面での説明が必要 |
| 向いている人 | 長く安定して住みたい | 期限付き前提で借りたい |
ポイントは、普通借家では大家さん都合で簡単には追い出せないこと。「更新しません」と言うには正当事由が要るため、借主はかなり守られています。同じ「賃貸」でも出口がまったく違うので、契約書のタイトルは必ず確認しましょう。
家探しの一言メモ:定期借家は相場より家賃が安いこともあります。「期限が来たら確実に出る」前提なら、あえて狙うのも賢い選択です。
不動産は金額が大きいぶん、知識ひとつで数十万〜数百万円の差が出る世界。次に物件情報を見るときは、ぜひ登記簿と用途地域、建蔽率・容積率をチェックしてみてください。