「どうせ将来もらえないんでしょ」——年金の話は、だいたいこの一言で終わる。でも年金は、老後のためだけの制度じゃない。今日から効く「国が運営する終身保険」でもある。まずは全体像を、図で一気につかもう。

年金は「2階建ての建物」

👀 まずは「2階建て」のイメージだけ持ち帰ればOK
🍜自営業・フリーランス第1号
2階なし上乗せ部分
国民年金基礎年金(1階)
💼会社員・公務員第2号
厚生年金(2階)
国民年金基礎年金(1階)

会社員は「1階+2階」で受け取る額が厚くなる

公的年金の2階建て構造

日本の公的年金は2階建て。1階=国民年金は20歳以上60歳未満のほぼ全員が入る土台。2階=厚生年金は会社員・公務員だけが上に乗る。だから会社員のほうが受け取る額は厚い。しかも会社員は、1階分の保険料も厚生年金保険料にまとめて払っている。

あなたはどのタイプ?

🍜
田中さん(38)
ラーメン店店主
第1号被保険者
保険料
自分で定額を納付
もらえる年金
基礎年金(1階)
💼
佐藤さん(40)
会社員
第2号被保険者
保険料
給料天引き・労使折半
もらえる年金
基礎+厚生(1・2階)
🛒
佐藤さんの妻(38)
パート・年収120万
第3号被保険者
保険料
負担なし
もらえる年金
基礎年金(1階)
立場で変わる、保険料ともらえる年金

保険料の払い方ともらえる年金は、立場で3つに分かれる。注目は第3号——自分では保険料を1円も払わないのに、基礎年金がもらえる枠だ。

「130万円の壁」、実は106万円の壁も 扶養されている配偶者(第3号)が年収130万円を超えると扶養を外れ、自分で保険料を払うことになる。さらに勤務先の規模や労働時間によっては、130万円より手前の年約106万円で厚生年金加入になるケースも。「働きすぎると手取りが減る逆転」はこれが原因。

いつから受け取る? 早い・遅いで生涯変わる

🔑 ここが見どころ

受給開始年齢と、もらえる年金額(65歳=100%)

100%76%60歳繰上げ100%65歳基準142%70歳繰下げ184%75歳繰下げ
※現行制度・1962年4月2日以降生まれのモデルケース。60歳76%は0.4%減額世代、75歳184%は繰下げ上限75歳を使える世代。

受給は原則65歳。でも60〜75歳の範囲で早めたり遅らせたりできる。早めれば一生減額、遅らせれば一生増額。60歳まで早めると76%、75歳まで待つと184%——同じ人でも、受け取り方だけで生涯の年金額がこれだけ変わる。健康や貯蓄しだいで正解が変わる、悩ましい選択だ。

実は「生きるための保険」

👴
老齢年金
原則65歳から。長生きに備える土台
障害年金
病気・ケガで働けなくなったとき
🕊️
遺族年金
亡くなったあと、残された家族へ
年金は「老後・障害・死亡」の3つに効く

年金は老後だけじゃない。若くても、病気やケガで働けなくなれば障害年金、亡くなれば残された家族に遺族年金が出る。民間保険を検討する前に自分の公的保障を知っておくと、掛けすぎを防げる。ここはFP的にも大事な視点だ。

FP3級で狙われる「引っかけ」

試験は、数字と年齢要件を少しズラして受験者を引っかけてくる。逆に、ここさえ押さえれば得点源になる。

論点正しい要件ありがちな引っかけ
加入年齢20歳以上60歳未満「18歳から」ではない
受給開始原則65歳60歳は"繰上げ"であって原則ではない
繰上げ最速60歳から減額は一生続く(65歳で戻らない)
繰下げ最大75歳まで「70歳まで」は古い
受給資格期間10年以上昔の「25年」で覚えていると誤り
第3号の保険料負担なし「配偶者が2人分払う」ではない
遺族基礎年金「子のある配偶者」か「子」が対象要件を満たす子がいなければ支給されない

とくに受給資格期間は25年→10年に短縮繰下げ上限は70歳→75歳に拡大された点は、古い参考書の記憶がそのまま失点につながる。

おわりに

年金は、正体が見えないから不安になる。でも分解すれば「1階+2階の建物」「3タイプの住人」「老後・障害・死亡の3つに効く」——たったこれだけ。金額は毎年変わるから、暗記するより構造をつかむことが、いちばん長く役に立つ。