「どうせ将来もらえないんでしょ」——年金の話は、だいたいこの一言で終わる。でも年金は、老後のためだけの制度じゃない。今日から効く「国が運営する終身保険」でもある。まずは全体像を、図で一気につかもう。
年金は「2階建ての建物」
会社員は「1階+2階」で受け取る額が厚くなる
日本の公的年金は2階建て。1階=国民年金は20歳以上60歳未満のほぼ全員が入る土台。2階=厚生年金は会社員・公務員だけが上に乗る。だから会社員のほうが受け取る額は厚い。しかも会社員は、1階分の保険料も厚生年金保険料にまとめて払っている。
あなたはどのタイプ?
保険料の払い方ともらえる年金は、立場で3つに分かれる。注目は第3号——自分では保険料を1円も払わないのに、基礎年金がもらえる枠だ。
「130万円の壁」、実は106万円の壁も 扶養されている配偶者(第3号)が年収130万円を超えると扶養を外れ、自分で保険料を払うことになる。さらに勤務先の規模や労働時間によっては、130万円より手前の年約106万円で厚生年金加入になるケースも。「働きすぎると手取りが減る逆転」はこれが原因。
いつから受け取る? 早い・遅いで生涯変わる
🔑 ここが見どころ
受給開始年齢と、もらえる年金額(65歳=100%)
受給は原則65歳。でも60〜75歳の範囲で早めたり遅らせたりできる。早めれば一生減額、遅らせれば一生増額。60歳まで早めると76%、75歳まで待つと184%——同じ人でも、受け取り方だけで生涯の年金額がこれだけ変わる。健康や貯蓄しだいで正解が変わる、悩ましい選択だ。
実は「生きるための保険」
年金は老後だけじゃない。若くても、病気やケガで働けなくなれば障害年金、亡くなれば残された家族に遺族年金が出る。民間保険を検討する前に自分の公的保障を知っておくと、掛けすぎを防げる。ここはFP的にも大事な視点だ。
FP3級で狙われる「引っかけ」
試験は、数字と年齢要件を少しズラして受験者を引っかけてくる。逆に、ここさえ押さえれば得点源になる。
| 論点 | 正しい要件 | ありがちな引っかけ |
|---|---|---|
| 加入年齢 | 20歳以上60歳未満 | 「18歳から」ではない |
| 受給開始 | 原則65歳 | 60歳は"繰上げ"であって原則ではない |
| 繰上げ | 最速60歳から | 減額は一生続く(65歳で戻らない) |
| 繰下げ | 最大75歳まで | 「70歳まで」は古い |
| 受給資格期間 | 10年以上 | 昔の「25年」で覚えていると誤り |
| 第3号の保険料 | 負担なし | 「配偶者が2人分払う」ではない |
| 遺族基礎年金 | 「子のある配偶者」か「子」が対象 | 要件を満たす子がいなければ支給されない |
とくに受給資格期間は25年→10年に短縮、繰下げ上限は70歳→75歳に拡大された点は、古い参考書の記憶がそのまま失点につながる。
おわりに
年金は、正体が見えないから不安になる。でも分解すれば「1階+2階の建物」「3タイプの住人」「老後・障害・死亡の3つに効く」——たったこれだけ。金額は毎年変わるから、暗記するより構造をつかむことが、いちばん長く役に立つ。