「終価・現価・年金終価・減債基金・資本回収・年金現価」——読み上げただけで受験生の目が泳ぐ、FP3屈指の"呪文"。でも安心してほしい。この6つは、お金を時間の川の上流(将来)と下流(今)で行き来させるための、たった1本の「掛け算」に過ぎない。
係数は「時間をまたぐ電卓」— 6つでも仕事は1つ
6つの係数がやっていることは、じつは全部同じ。分かっている金額に係数を掛けるだけで、「今のお金 ⇔ 将来のお金」を一発で換算する。違うのは"どの向きに換算するか"だけだ。整理の軸は2つ。①出発点(今の一括/将来の一括/毎年の額)と、②ゴール(同じく3種類)。この組み合わせで、下の表のように6マスがきれいに埋まる。だからこれは数字を暗記する試験ではない。「今この場面で、何から何を求めたいのか」を選べれば、それで勝ちだ。まずは全体像を頭に入れよう。
タテの出発点からヨコのゴールへ、掛け算一発で換算
ゴール
係数
係数
係数
係数
係数
係数
同じ色どうしは逆数の対(対角線で対称)
一括のお金:増やす「終価」/割り引く「現価」
まずは一番やさしい"一括ペア"から。終価係数は「今ある一括のお金を複利で運用したら、将来いくら?」。たとえば100万円を年2%で10年運用すると、100万×1.219=約121.9万円になる。逆に現価係数は「将来必要な額を、今いくら用意すればいい?」。10年後に100万円ほしいなら、100万×0.820=約82.0万円を今預ければ届く計算だ。同じ2%・10年でも、増やす向き(終価)と割り引く向き(現価)で係数が入れ替わるのがポイント。しかも 1.219 × 0.820 ≒ 1。つまり終価と現価は逆数の関係で、片方が分かればもう片方は割り算で出せてしまう。
毎年のお金:貯める2つ・もらう2つ
残りの4つは「毎年」が絡む。まず貯める側が2つ。年金終価係数=毎年10万円を2%で10年積み立てたら将来いくら(10万×10.950=約109.5万円)。減債基金係数=10年後に100万円を作るには毎年いくら積む(100万×0.0913=約9.13万円)。次にもらう側が2つ。資本回収係数=今100万円を運用しながら10年で取り崩すと毎年いくら受け取れる(100万×0.1113=約11.13万円)。これは住宅ローンの毎年返済額とまったく同じ計算だ。年金現価係数=毎年10万円を10年受け取り続けるには今いくら元手が要る(10万×8.983=約89.83万円)。「貯める/もらう」で対になっているのが見えるはずだ。
前提:年2%・10年(期末払い)、金額は説明用の概算
どの係数を使う? FP3は"場面判断"で解く
本試験で問われるのは計算そのものより「この場面はどの係数?」という判断。問題文のキーワードから反射的に選べるようにしておこう。
| 問題文のヒント | 求めるもの | 使う係数 |
|---|---|---|
| 一括で預けて将来いくら? | 将来の一括 | 終価係数 |
| 将来の目標に今いくら要る? | 今の一括 | 現価係数 |
| 毎年積み立てて将来いくら? | 将来の合計 | 年金終価係数 |
| 目標額へ毎年いくら積む? | 毎年の積立額 | 減債基金係数 |
| 元手を毎年取り崩す/ローン返済 | 毎年の受取・返済 | 資本回収係数 |
| 毎年もらい続けるのに今いくら? | 今の元手 | 年金現価係数 |
コツ:答えが「毎年」なら 減債基金 or 資本回収、条件が「毎年」なら 年金終価 or 年金現価。ここで半分に絞れる。
対で覚えると、6つが3つになる
最後の一手は"逆数ペア"での圧縮だ。終価⇔現価、年金終価⇔減債基金、資本回収⇔年金現価は、それぞれ掛けると1になる裏表の関係。fig-aの表でいえば、対角線をはさんで対称の位置にいる同じ色どうしがそれだ。だから本当に覚えるのは実質3組だけ。「増やす/割り引く」「貯める/その逆算」「取り崩す/その元手」——このセットで場面をつかまえれば、6つの呪文はもう怖くない。表を思い浮かべ、出発点とゴールを指させば、答えの係数は必ず1つに決まる。