年金と聞くと老後の話だと思ってしまうが、実は現役世代のうちからずっと効いている保障がある。障害年金だ。病気やケガで働けなくなったとき、公的年金から生活費が出る。民間の就業不能保険を検討する前に、まずここを知っておきたい。
障害年金も2階建て。ただし階ごとに「等級」が違う
障害年金も、1階の障害基礎年金(国民年金)と2階の障害厚生年金(厚生年金)でできている。ここまでは老齢年金や遺族年金と同じだ。
決定的に違うのは、それぞれ対応する障害等級が違うという点。この一点が、FP3級で最も問われるところだ。
障害基礎年金は1級・2級だけ。 3級という区分がそもそも存在しない。金額は1級が2級の1.25倍に設定されている。
障害厚生年金は1級・2級・3級。 さらに、3級よりも軽いけれど一定の障害が残った状態で治った場合に、一時金として障害手当金が支給される制度もある。
| 障害基礎年金 | 障害厚生年金 | |
|---|---|---|
| どこから | 国民年金(1階) | 厚生年金(2階) |
| 対象等級 | 1級・2級のみ | 1級・2級・3級 |
| 一時金 | なし | 障害手当金(3級より軽い一定の障害) |
| 家族の加算 | 子の加算 | 1級・2級に配偶者の加給年金 |
つまり、同じ3級の障害でも、自営業の人(第1号被保険者)には年金が出ず、会社員には障害厚生年金3級が出る。2階建ての厚みがそのまま保障の厚みになるわけだ。なお1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受け取れる。2階だけを選ぶ、という話ではない。
もうひとつ、若い人にとって大事な配慮がある。障害厚生年金の計算のもとになる厚生年金の加入月数が300月(25年)に満たない場合は、300月あったものとみなして計算される。入社してすぐの人でも金額が極端に少なくならないようにする仕組みで、遺族厚生年金にも似た仕組みがある。
3つの要件——初診日・障害認定日・保険料納付
障害年金を受け取るには、次の3つをクリアする必要がある。
① 初診日要件。 その障害のもとになった病気やケガで**はじめて医師の診療を受けた日(初診日)**に、公的年金の被保険者であること。この初診日にどの年金に入っていたかで、障害基礎年金だけなのか障害厚生年金も出るのかが決まる。だから初診日は障害年金のすべての出発点になる。
② 障害認定日要件。 障害の程度を判定する日を障害認定日といい、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日(その間に症状が固定した場合はその日)だ。この日に1級・2級(厚生なら3級)の状態であることが必要になる。
③ 保険料納付要件。 初診日の前日の時点で、それまでの被保険者期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間の合計が3分の2以上あること。ここで大事なのは免除も納付済みと同じ扱いで数えることだ。払えないときに放置して未納にするか、きちんと免除申請するかで、いざというときの保障がまるごと変わる。
免除申請をしていれば納付要件のカウントに入るが、ただの未納は入らない。「払えないなら免除申請」——これはFPとして伝える価値のある、いちばん実用的なアドバイスかもしれない。
20歳前の傷病でも障害基礎年金は出る
障害年金には、もうひとつ知っておきたい仕組みがある。20歳前に初診日がある傷病による障害だ。20歳前は国民年金に加入していないので保険料を1円も払っていないが、それでも20歳から障害基礎年金が支給される。保険料を納めていない以上の給付なので、本人の所得が一定以上あると支給が停止されるという調整はあるが、生まれつきの障害や子どものころの事故にも公的保障が届く設計になっている。
FP3級のひっかけは、ここだけ潰す
| ありがちな思い込み | 正しくは |
|---|---|
| 障害基礎年金にも3級がある | ❌ 1級・2級のみ。3級は厚生年金だけの区分 |
| 障害等級は4級まである | ❌ 公的年金の障害等級に4級はない |
| 1級と2級は同額 | ❌ 1級は2級の1.25倍 |
| 障害認定日は初診日から1年 | ❌ 1年6ヶ月(症状固定ならその日) |
| 未納でも免除でも同じ | ❌ 免除は納付要件に算入、未納は算入されない |
| 加算は基礎も厚生も配偶者 | ❌ 基礎は子の加算、厚生1・2級は配偶者の加給年金 |
まとめ
覚え方はシンプルだ。「基礎は1・2級まで、厚生は3級と一時金まで」。この1行が本体で、あとは**初診日・障害認定日(1年6ヶ月)・納付要件(3分の2以上)**の3点セットを付け足せばいい。障害年金は、老後まで待たずに使うかもしれない保障だ。試験対策としてだけでなく、自分ごととして押さえておきたい。